3類型とは

■ 増永の3類型

一般的な性格タイプ論では、12分類が主役として語られることが多いですが、増永篤彦のタイプ論においては、その手前に「3類型」という非常に重要な構造が存在します。

この3類型は、12類型を単純に似た性質ごとにまとめたものではありません。人間の性格を成り立たせている根本的な力の向きを、三つの方向性として捉えたものです。

また、増永のタイプ論を学ぶ入口としても親和性が高く、日常の具体例に置き換えて理解しやすい構造でもあります。

さらに、この3類型の構造には、アメリカの心理学者ウィリアム・H・シェルドンによる気質類型論の影響が見られます。

ただし、増永はそれをそのまま援用したのではありません。日本人の文化的背景や気質、対人関係のあり方を踏まえ、心理学的・実践的な観点から再構成することで、独自のタイプ論として組み直しています。

その結果として生まれたのが、情緒派(ムード派)・行動派(ファイト派)・知性派(クール派)という、増永独自の3類型構造であると考えられます。

■ 情緒派(現:ムード派)

ムード派は、感受性を基軸として世界を受け取るタイプです。心理よりも生理的・感覚的な反応が先に立ちやすく、「どう感じたか」「好きか嫌いか」が行動選択の大きな基準になります。

円環図の左上に配置されたムード派領域と十二運「養・墓・冠帯・衰」を示す図

・対生理関係 …… 不調和型
 疲労や不調が無自覚のうちに蓄積されやすい傾向があります。

・行動基準 …… 享受的目標
 カンや好悪によって行動が決まり、気分の波が出やすい特徴があります。

・感情の軸 …… 情緒型
 楽しさと悲しさのあいだを揺れ動きます。

● ムード派には4つのタイプが配置されています。
十二運:養(M1)・墓(M2)・冠帯(M3)・衰(M4)
※カッコ内はヒューマンスタディ協会表記です。

ここから言葉の表現は12類型に進むにしたがいより具体性を帯び
「雰囲気を重視する」
「感覚が大切」
といった特徴として認識されていきます。

■ 行動派(現:ファイト派)

ファイト派は、意志と行動を軸に人生を切り拓こうとするタイプです。考えるよりも先に動くことで状況を変え、行動そのものが自己確認の手段になります。

円環図の右上に配置されたファイト派領域と十二運「沐浴・病・死・長生」を示す図

・対生理関係 …… 克服型
 心理による無理押しが効きやすく、行動を止められる方が不調になりがちです。

・行動基準 …… 活用的目標
 必要性と利害を重視し、「必要なら即実行」という姿勢が基本です。

・感情の軸 …… 興奮型
 嬉しさと悔しさのあいだを強く振れます。

● ファイト派には4つのタイプが配置されています
十二運:沐浴(F1)・病(F2)・死(F3)・長生(F4)

ここでも12類型に進むにしたがい、表現はさらに明確になり
「とりあえず動く」
「根性が大切」
といった言葉で語られるようになります。

■ 知性派(現:クール派)

クール派は、考え方の筋道を人生の軸に据えるタイプです。感じ方や行動は、考えを整理し理解するための素材として扱われます。

円環図の下部に配置されたクール派領域と十二運「胎・建禄・帝旺・絶」を示す図

・対生理関係 …… 調節型
 無理を避け、心理と生理のバランスを保とうとします。

・行動基準 …… 意味的目標
 意味や納得が行動の出発点となるため、慎重になりやすい傾向があります。

・感情の軸 …… 平静型
 よろこびとさみしさの間を静かに移行します。

● クール派には4つのタイプが配置されています
十二運:胎(C1)・建禄(C2)・帝旺(C3)・絶(C4)

ここでも12類型に進むに従い
「腑に落とす」
「マイペース」
といった表現で特徴が捉えられていきます。

■3類型補足

ここから先は、多分に私見を含みます。

ただし、これは思いつきや独断ではなく、増永篤彦の著作全体を通読し、臨床・実践の中で検証を重ねるなかで、「どうしてもこの構造でしか説明がつかない」と感じてきた考察です。

2類型の説明でも同様の文脈となりますが、増永は著書の中で一貫して『四柱推命における五行思想では、私の個性学は語れない』という趣旨の言葉を遺しています。

つまり、

五行思想 ← ×(これでは解明できない)

という明確な距離の取り方です。では、増永のタイプ論(個性学)は、どの思想的階層に立脚しているのか。

さらに増永は、次のようにも述べています。
『実は、個性学は、四行思想のもう一歩手前の三行思想と二行思想を、心理学的に構成させたものである。』(四行思想 ➡ 三行思想 ➡ 二行思想)

この言葉を踏まえると、私の解釈では、増永の個性学は、五行思想の手前にある、より根源的な分化構造──

・四行思想 → 各3類型中の4タイプ
・三行思想 → 3類型
・二行思想 → 2類型

という階層で捉えることで、全体の筋道が最も通りやすくなる、という結論に至りました。この流れで見たとき、本ページで扱っている3類型は、単なる「3つの性格分類」ではなく、人間の在り方を

1)感じる
2)動く
3)考える

という三方向に分けて捉える、三行思想に対応する構造として位置づけることができます。

情緒派(ムード派)・行動派(ファイト派)・知性派(クール派)という3類型は、どれが優れている、どれが劣っている、という話ではありません。

それぞれが、「どこを起点に世界と関わるか」という立脚点の違いを示しているにすぎないのです。そして、この三行思想がさらに分化していくことで、各派に4タイプずつ配置された12類型が生まれ、そこから60類型へと展開していく──

私はそのように理解しています。

あくまでこれは、増永の言葉と構造を尊重した上での私見であり、本サイトでは今後も、原典に立ち返りながら慎重に検証を重ねていく予定です。