シェルドン自身が「ばかばかしい程、辛気くさい努力だった」(笑)

『シェルドンはクレッチマーの体型分類が科学的には不完全であることから、厳密な測定基準を設け、体型の基本的な三つの成索の比率(1から7までの七段階)で、まず身体類型を測定した。この測定比率によって、身体類型は、“444”を中心とし、“711”“171”“117”を頂点とする三角形の平面上に位置することになる。この体型と相関する気質の三成素を同じく気質尺度からち比率的に設定して完全な気質体型的類型学を構成しようと試みたわけである。

気質の評定は、体型のように厳密にはいきかねるが三つの基本気質を、二十項目毎の特性で代表させ、それに七段階の採点を試みれば、そこにあたかも身体類型のごとき比率が可能となる。そのよう気質の尺度を作製するために、650個の気質特性から整理した50項目の対語表によって、大学卒業生や講師を評定してみた。

その1225個の相関の算出には、シェルドン自身述懐する如くばかばかしい程、辛気くさい努力を要したものである。ともかく、彼の目標は、常識的にいう知、情、意の基本的気質を象徴する三つのクラスター(核)と、ついで性差を表示するクラスターの発見にあった。

遺憾ながら第四のクラスターは発見できず、情緒面で6個、意志面で7個、知性面で9個の特性が摘出されたことが大きた収穫であった。知性面の特性くらべて情緒面の特性が少なかったことは、本質的にそうした特性が少ないというとではなく(50頃目の対語表が示されていないので厳密には言いにくいが)、情緒面の気質は、特性用語として表現されにくい性質を持っているからと思われる。

シェルドンのこうした努力によって、常識的に知性的だとか情緒的だとか評されることの内容が、特性的な立証されたことの意義は小さくない。』(『人の研究』より引用)

シェルドンは、クレッチマーが行った体型分類が、臨床的には優れている一方で、どうしても直感的にならざるを得ない点に課題を感じていました。そこで彼は、身体の特徴を三つの要素に分け、それぞれを1〜7の数字でスコアリングし、数学的なデータによって裏付けようと試みたのです。

というのも、「太っている人は社交的」「痩せている人は内向的」といった、いわばタイプ別の当てはめは、どうしてもどんぶり勘定になりがちです。この方法では、中間的な体型の人をうまく説明できない、という欠点が避けられません。

そこでシェルドンは、人の体型を「肥満度・筋肉度・細身度」という三つの要素に分解し、それぞれの比率(1〜7のスコア)で測定しました。さらに彼は、体型だけでなく、性格(気質)についても同じように数値化できるのではないかと考えます。

その方法は、膨大な言葉、約650個の気質特性の中から、50項目を抽出し、それらを用いて相関関係を算出するという、気の遠くなるような作業でした。

シェルドン自身が「ばかばかしい程、辛気くさい努力だった」と振り返っているように、膨大な計算を重ねた末、体型と同じように、気質についても比率で測定できる尺度を作り上げたのです。

この試みによって、「人は誰もが、三つの要素を混ぜ合わせて持っている」という考え方が、はっきりと形になりました。

つまり、どんな体型の人であっても、「4-4-4(標準)」「2-5-3」といったように、数値で表現できるようになった、ということです。

ここで重要なのは、この
「誰もが三つの要素を混ぜ合わせて持っている」
という視点です。

これは、後に3類型から12類型へと展開していく際にも、繰り返し使われる非常に重要な考え方で「グラデーション」として使っている理由です。

これは私たちの心理的な区分が、固定された「枠」や、動物キャラような「毛皮」で分けられるものではない、ということを意味しています。

人は単純なタイプに分けられる存在ではなく、常に比率と混ざり合いの中で理解されるべき存在なのですね。

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