【大谷翔平分析の構造を俯瞰するシリーズ】
その①:大谷翔平を“5匹の動物”で説明できるのか
https://masunaga-genten.jp/word-gap-20260312/
その②:バーナム効果
https://masunaga-genten.jp/word-gap-20260313/
その③:人は環境・教育・経験で肉付けされる
https://masunaga-genten.jp/word-gap-20260314/
その④:確証バイアス
https://masunaga-genten.jp/word-gap-20260315/
その⑤:本来の増永タイプ論(この記事)
こんにちは。
生年月日からタイプ分類界の老害、揚げ足奉行の戸栗です。
大谷翔平検証の続き(その⑤)です。
前回の記事では『確証バイアス』のお話をしました。
これは心理効果の代表的なもので、人は自分の持っている信念や仮説を肯定する情報ばかりを集め、反対の情報や不都合な情報を無視・軽視する傾向があるというものです。
特に、生年月日から性格を説明するようなコンテンツを利用する際には、注意しておかなければならない心理効果です。
さて、過去記事【その③:人は環境・教育・経験で肉付けされる】でも触れましたが、人は生まれてから多くの影響を受けて成長し、個性を育て上げていきます。
ここでは例として、大リーグでも活躍している大谷翔平を取り上げています。
大谷は元社会人野球選手の父と、バドミントン選手の母、そして兄と姉のもとで育ちました。
そう考えると、大谷翔平の性格は、この両親のもとに生まれ、まっさらな白無垢の状態から築き上げられた、という解釈もできるかもしれません。
しかし、もしそうだとするならば――
増永篤彦が心理学と新推命学によってゼロから築き上げたタイプ論も、そしてその理論を一部改変させて派生した多くの生年月日タイプ論、
(素質論、個性學、動物占い、バースデイサイエンス、魔法のスイッチなど)
これらすべてが、この世から跡形もなく消えてしまうことになります。
さらに言えば、四柱推命や算命学など、生年月日から命式を算出して運勢を導く占術において、性格を補足的に扱っている人たちの商売も、性格分析の部分では成り立たなくなるでしょう。
それは……
私としても非常に困ります(笑)。
そこでここに、これら理論の原典を構築した増永の言葉を、著書から二つ引用してみます。
●増永篤彦が語る性格と気質
『性格とは、そのように人の行動そのものではなくて、行動の中に含まれている共通した「何か(元型)」をいう。このような形に現れた見かけの差異よりも、何か含まれた同一の特性のことをいう。このような特性というものは、人が意識的にその行動を特性づけているのではなくして、行動を特性づけるような一貫した「何か」が、その人の中にあるからである。行動とは、逆にいえば、一貫した「何か」の表現であるともいえる。』
『人間の形成において、生得的な素質というものの存在が先ず予想され、これらのまとまりとしての気質が、生活環境と社会環境の中から経験や教育を摂取して、性格というさらに大きな、社会に対する人としてのまとまりを構築する。この場合、環境を通じて経験されたものが性格であり、環境から経験を選択するものが気質である。』
つまり増永は、人間には生まれた時点で「何か」があるとの考えに至ったのでしょう。そこで
「性格の元になる素質の集まり」=可能性の芽
が存在するのではないかという仮説を立てました。
そしてその仮説をもとに、推命学と心理学を駆使して構築されたのが“増永のタイプ論”なのです。
この「可能性の芽」にあたるものが、生年月日命式における日柱の十二運です。
大谷翔平は【墓(ぼ)】であり、動物キャラクターに置き換えると“ひつじ”とされています。
そして増永理論を継承するヒューマンスタディ協会では、これを
【ムード派インサイド型 クール派側 M2タイプ】
と呼んでいます。
つまり、ここが大谷翔平の性格形成のスタート地点なのです。
この元型があり、そこに
・環境
・教育
・経験
が積み重なり、熟成されていくことで、現在私たちが見ている大谷翔平という人物の「人となり・個性」が形作られているのです。
そして、ここで一番大切なポイントがあります。
増永原典では日柱の十二運、つまり大谷の場合
【墓 / M2 / ひつじ】
この一本で大谷を語るのです。
そこに
・オオカミ(胎 / C1)
・黒ヒョウ(冠帯 / M3)
・ペガサス(絶 / C4)
などを登場させる必要はありません。
ではせっかくなので、ここで大谷翔平の気質の概要を一部ですが箇条書きで見てみましょう。
〔1〕3類型&2類型(ムード派のインサイド型)
・人の心理を洞察するのにさして苦労はしないが、自分の心理を語るのを非常な苦手とする
・意多くして言葉にならずうまく説明できないと思われる
・自己と環境がぴったり密接しているために自己の心理を語れないのかもしれない(人を見る眼)
・聴き好きであるが話し下手
・弁解もしないし、謝罪もしないし、云うにいわれぬ事情があるということすら言わない。これは時として態度的に無反省に通じ横着さと誤解される
〔2〕6類型(クール派側)
・ファイト的ムード派に比較して、起動性が遅く、多少引き締められた感じの姿勢態度をもち、日常生活における変化や刺激を避ける。
・人に対しても、信頼しうる人間、安心して愛情の交換のできる人間を求めつつ、経験効果から、自然と人に対する警戒心や恐怖心を捨て去ることができない。
・ムード派的群居性をもちつつ、ファイト的ムード派に比べると孤独的態度を選びやすい。
・ユング的にいえば、ムード派の内向性であり、自己の内界に価値を置く方である
〔3〕12類型
・人あたりは柔らかく、おちついた態度とマナーをそなえている穏健な人柄
・つねにお互いの間に一定の距離をおいた立場で、相手をたて、自分も譲らない処世方針を貫く
・積極的な自己主張はないが、自分を卑下している訳ではない
・自分を含めた傍観者的な鋭い観察眼や洞察力が時に皮肉屋とみられることがある
・内向的で明晰な頭脳や分析力に比べて、結論を時の流れに沿った自然の推移に求める
・事にあたっての決断や実行が遅れがちな欠点はみられるが焦らず急がずの粘り強さと博識が特長
・積極的な環境の開拓はさけて、もっぱら状況の変化をまつ主義
・自ら犠牲になる危険は冒さず、時に責任回避のそしりをうける恐れもある
・情報の収集、分析に配慮し、つねに相手とのバランスを考えながら事を運ぶのが上手
これら箇条書きに挙げた特性の多くは、
・大谷翔平本人
・ご家族
・監督
・チームメート
など、彼と密接に関わった人たちにしか分からない部分でしょう。(全部が当てはまっている訳でもありません)
さらにテレビを通して見えている姿は、全体のごく一部にすぎません。
つまり、人間の個性というものは単純なキャラクターの組み合わせで説明できるほど、単純なものではないのです。
しかし一方で、人間理解のための「型」や「分類」というものは、古くから研究され続けてきました。
増永篤彦のタイプ論も、そのような研究の一つです。
そして増永は、この理論を「決めつけ」ではなく「可能性の芽」として扱うべきものだと考えていました。
人の個性とは生まれ持った気質という「元型」があり、そこに
・環境
・教育
・経験
が重なり合い、長い時間をかけて形作られていくものなのです。
今回のシリーズでは、大谷翔平という人物を例に、
・バーナム効果
・確証バイアス
・人格形成
などの視点から、生年月日タイプ論の構造を少し俯瞰してみました。
●まとめ
人を理解するということは、本来とても奥深い営みです。
そして本当の意味でのタイプ論とは、人を単純なキャラクターに当てはめるためのものではなく、人間理解のための一つの視点として使われるべきものなのかもしれません。
ここまでありがとうございました。


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